神社に関係した言葉の中で、「玉串」と言う美しい言葉があります。
毎年8月になると、時の自民党総裁が「私費で靖国神社に玉串料を奉納し」などとのニュースが流れ、言葉そのものはご存知の方も多いでしょう。
しかし、実際どのようなものかは案外知られていないようなので、今回奉納の作法と共にご紹介したいと思います。
お好きなところからどうぞ!
玉串とはどのようなものか
形状
玉串は神道の様々な神事・儀式に用いられるもので、榊(さかき)など常緑樹の枝に、紙垂(かみしで)や木綿(ゆう)を飾り付けたものです。
北海道では櫟(いちい)を、沖縄ではガジュマルの枝を用いるなど、地方によってはその土地のものを使います。
これは酒や米・花・農作物などのお供え物にも言えることですが、神様は遠くの珍しいものより、その土地で普通に豊富に採れるものを喜ばれます。
いわれ
神話の時代、天照大御神が須佐之男命の乱暴狼藉に怒り、天岩屋戸に隠れてしまう事件が起こりました。
太陽の神がお隠れになっては、世界が闇に閉ざされます。
多くの神々がこれは大変、何とかして岩屋戸の外へ出て頂こうと、集まって知恵を絞りました。
天照大御神の御心を引きそうなものを用意して、見て頂いてはどうかと相談がまとまります。
その時に用意したのが、五百津真賢木(いほつのまさかき)でした。
これは岩屋戸の近くに生えていた賢木(さかき)を根ごと掘り出し、玉や鏡などで飾り立て、布刀玉命(ふとだまのみこと)が捧げ持って、天照大御神にお見せしました。
この時使った『根付きの賢木』を簡略化したものが、玉串の由来とされています。
玉串とはどのような時に捧げるものか
私たちが初詣など普段神社にお参りする時は、鈴を鳴らし頭を下げ手を合わせ・・・程度の参り方ですが、これは略式参拝になります。
これに対し、拝殿へ登り神職の方に祝詞をあげてもらったり、祈祷やお払いをしていただいたりの、参拝をする場合があります。
これを正式参拝・昇殿参拝と呼びますが、その時に神前に玉串を捧げる儀礼を、【玉串奉奠(たまぐしほうてん)】と呼びます。
玉串はこのような正式参拝の時に、穢れの無い神聖な心の象徴として神前に捧げるものです。
神霊を迎えると共に、自らの霊性を託して捧げるもので、神と人との融合の証としました。
これを玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言いますが、例えば結婚式の場合、新たに夫婦となる二人は、深いご神慮により結ばれたものです。
その二人がこれからの結婚生活を、穏やかに末長く送る覚悟と決意を神前に玉串を捧げ誓うことに、意義があります。
玉串奉奠の通常参拝と略式参拝との違いとは?
普段の参拝との違いは、手水舎で身を清めるところまでは同じですが、その後拝殿前には進まず、社務所で正式参拝の旨を伝えます。
この時後述する用意して来た【玉串料】を納めます。
神社側の案内で拝殿に登りますが、拝殿では祈願の内容にそって、神職によるお祓いや祝詞奏上が行われます。
ついで参拝者は、神様への祈願と感謝の意を込めて、玉串を神前に捧げます。
次はいよいよ玉串奉奠の作法です。
玉串奉奠の作法
神様に失礼が無いように、玉串奉奠の作法も覚えておきましょう。
以下の動画でわかりやすく解説されていますので、ご参考になさって下さい。
結婚式やお宮参り・七五三のお祝いなど、一般の方でも決して無縁ではないのです。
イザと言う時慌てないためにもご覧ください。
わかりやすい動画ですが、今一度まとめておきます。
1.神職から玉串を受け取る時は、軽く一礼して右手で上から玉串の根元を、左手で下から穂先を支えるように持ちます。
少し肘を張り、胸の高さで保持します。
2.神前に進み一礼した後、左掌に乗せた玉串の穂先を時計回りに90度回します。
この時玉串は、立ち上がった形になります。
3.両手で根元を持ち、額の高さまで持ち上げ祈念を込めます。
4.右手を玉串の中ほどまですべらせて支え、左手で根元を持ちやはり時計回りに今度は180度回します。
この時玉串は水平に持ちます。
5.これで根元が神前に向きますので、玉串の中ほどを両手で支え、軽く一歩進みそのまま神前にお供えします。
6.一歩下がって、二拝・二拍手・一拝をします。
7.右の足から下がり、体の向きを変えて座所に戻ります。
玉串奉奠の事前の準備を解説!
玉串奉奠の作法については、わかりやすい動画で説明していますので、お参りする前の準備の事をお話しておきます。
(1)祝詞を上げていただく依頼
当日いきなり神社へ行って、「玉串を捧げたいのですが」と言っても神社の側にも都合があります。
特に、七五三などは混みあうことが考えられますので、まず神社に電話をして相談の上、良い日柄を選んで予約をしておきましょう。
(2)謝礼を用意しておく【玉串料】と【初穂料】の違い
特別にご祈祷をしていただくのですから、神社側へ金品を収めなければなりません。
謝礼の額は、神社によっては規定を設けているところもありますので、申し込むときに伺えば良いでしょう。
謝礼を納める時に使う熨斗袋や白封筒に、表書きとして【玉串料】と書きます。
七五三・お宮参りや結婚式の時に、特別にご祈祷や厄払いをしていただくので、謝礼として納めます。
良く混同されるものに【初穂料】がありますが、【玉串料】の方は、神式の葬儀や通夜などの不祝儀の際にも用います。
葬儀の参列者が持参する香典の表書きにも使えますが、神式で個人を見送る時に【御仏前】とは書きません。
対して【初穂料】と言う表書きは、不祝儀の時には使いません。
またお守りやお札(おふだ)を授かる時には【初穂料】と書きます。
以上が玉串を捧げる時の作法ですので、ご参考になさって下さい。
最後に
今回は、神社の玉串の作法について解説しました。
神社で恥をかかないためにも、玉串の作法をしっかり覚えてくださいね。
今回の玉串奉奠の動画や文章が、あなたの神社人生の役立つことができたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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